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本日紹介いたしますのはこちら、「僕だけがいない街」第3巻です。
作者は三部けい先生。
角川書店さんの角川コミックス・エースより刊行、ヤングエースにて連載されています。

さて、突発的に過去に戻ってしまう能力によって、少年時代に戻ってしまった悟。
そこで少年時代に起きた、痛ましい事件を回避しようと奮闘するのですが……
徐々にその努力が実を結んで行き、過去はかえられると思った矢先に……その悲劇は起こってしまうのでした。

加代は失踪しました。
多くの人々がその真相と犯人を知らない中、これから起きることを知っている悟。
自分が何もできなかった無力感、運命に抗えなかった加代への哀れみ……
様々な感情が無い混ぜになった悟は、失踪の報からしばらく学校を休んでしまいます。
ですが次の日曜日、雪の降りしきる曇天が悟の沈んだ気持ちにマッチしたのもあってか、ようやく外にでようと言う気持ちが湧いてくるのです。
玄関を開けると、軒先で母親が眼鏡の男となにやら会話していました。
母親の元同僚、てれび極の記者らしいのですが……その話の内容は、やはり今回の件について。
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最近となりの市でも似たような事件があったばかりで今回の事件。
隣の市の事件はすぐ犯人が捕まったものの、こちらはまだつかまっていない。
猟奇的な事件の記憶を子供に残したくないから、情報を操作しても隠しておきたい……
そんな感じの内容のようです。
聞かれたくない話なんだろうと察した悟はそっとマドから抜け出し……加代との思い出の残る公園に向かいました。
この公園に来れば、加代に会える気がする。
ですがそこに待っていたのは、むなしい現実だけだったのです……

予定通り遠くに急に転校した、と言うことになった加代。
嘘が通じなそうだと判断された悟は担任から「騙す」側に回るよう誘われ、知っていたが事態が落ち着くまで誰にもいえなかった、という設定を貫くこととなりました。
ですがそうやって事件を隠し、公開捜査にしなかったのが「第2の事件」を招くこととなってしまったのです。
加代が失踪してわずか6日後。
また別の女児が失踪してしまいます。
こうなれば流石に警察も密かに捜査を進めるなどと悠長なことは言っておれず、連続誘拐事件として捜査を始めました。
……徐々に、悟の知る未来に近づいていきます。
日に日に強くなる無力感に苛まれながら、悟は帰宅の途についていました。
道中、第2の失踪者がでてからめっきり監視の目が減っていた加代の家から、彼女の母親がでてきてゴミを捨てているのを目撃します。
実の娘の失踪から、まだ10日しか経っていません。
そんな身の上の母親が捨てたゴミ袋の中には、
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生死が定かではないはずの娘の服……そして、編みかけの毛糸の手袋が入っていたのです!
「プレゼント、明日渡すね。約束。
そう言って別れたっきりの、加代が編んでいてくれたであろう手袋が……!
あまりに衝撃的な光景に、悟は絶叫し、駆け出してしまいます。
やり場なき感情が爆発し、無茶苦茶に走り続ける悟……
気がつけばそこは
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2006年。
現代に戻っていたのです!!

殺人犯を見つけ出すことができず、憔悴しきっていた過去。
ですがこの06年では、自分が母親を殺した犯人として追われる身……
パトカーのサイレンは鳴り響いています。
逃げなくてはならない。
悟は息を潜めてその場を離れるのでした。

過去に戻ったときに、自分は28歳である、と言う経験の積み重ねをアドバンテージと考えてしまっていた悟。
未来を知っているから、という甘い考えが、過去を変える為の行動を生ぬるいものにとどめてしまった、と悟は猛省します。
ほんの少しの経験と知識を持っただけの10歳の子供。
それを自覚して死に物狂いで事件に望まなければいけなかった……
結果、加代を助けられなかったばかりか、母を殺し、その犯人に仕立て上げられてしまったのです。
長いこと経っていたような気がしますが、実際に経過した時間はごくわずか。
そんなわずかの間に、悟が暮らしていたアパートはすっかり警察によって取り囲まれ、操作が始まっているではないですか!
……警察に犯人は別にいることを伝えればどうでしょうか?
残念ながら、犯人の策略によって「犯行現場から駆け出す姿」を目撃されている上、狂気にも自分の諮問が残っていることから考えて……警察が真犯人を追ってくれる可能性は皆無に等しいでしょう。
となれば悟は拘留され、真犯人は捕まるどころか、追いかけるものすらいなくなってしまうことになります。
悟の頭には、そうやって順序だてて物事を考え、これから先のことを予測する以前から、残された答えをすでに導き出していました。
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逃げる。
悟は身を隠し、今もどこかでほくそ笑んでいるであろう犯人を探し出す決意を固めたのでした!!

というわけで、過去の改変が失敗に終わり、現代に戻ってきた今巻。
再び舞台は現代となり、ストーリーは展開していくことになります。
恐ろしく狡猾な真犯人。
探っていくにつれ、その真犯人は悟のことをよく知っている、あるいは知ることのできる存在でなければできないことをしていることがわかります。
その正体は一体何者なのか?
流石に一人ではその捜査に限界があります。
是非とも協力してくれる存在がほしいところですが……
物語はさらに二転三転。
驚きの事実と、驚愕の展開が連続していきます。
一体悟を陥れた真犯人は何者なのか。
そして過去に起きた事件との関連は……?
今巻も最後の最後まで目の離せないドラマが待っているのです!!

舞台は再び現代へ、「僕だけがいない街」第3巻は全国書店にて発売中です!
徐々にではありますが、探るべきものが見え始める今巻。
悟は警察の目を逃れながら、どこまで犯人に近づくことができるのでしょうか……!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!