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本日紹介いたしますのはこちら、「黄昏乙女×アムネジア」第10巻です。
作者はめいびい先生。
スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行されました。

さて、夕子の記憶が戻り、そしてすべての未練をなくして成仏して行った前巻。
ですがその別れ際、夕子は貞一にてを差し伸べながら、やっぱり一人はいやだと涙を流して……

夕子は消え、彼女の拠り所であった急校舎は取り壊されてしまいました。
無慈悲に時間は流れ、三学期。
貞一の周りに、夕子の姿はありません。
以前もこんなことはありました。
ですがその時とは違い、また再びひょっこりと裕子が姿を現すことは……もうないのです。
夕子には恨みがなくなった、だからいなくなった。
それ以上……死者が何かを望んでもどうしようもない。
真っ当な方法では、夕子一緒にいられないことは貞一にもわかっていました。
だから夕子が消え行くときに、貞一は差し伸べられた手を取ろうとした……
でもそれは、歪んだ望み。
どうしようもなく、自分はこちら側の存在なんだ。
貞一は取り壊された旧校舎の残骸を前に、貞一は己と夕子の間に広がる分厚い壁と、無力感を痛感しています。
そんな貞一の視線にあるものが飛び込んできました。
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櫛。
かつて夕子が紫子の、紫子が夕子の髪を梳ったあの、櫛です。
夕子が感じたあの寂しさを取り払えなかった。
そしてもう今となってはもう何もすることは出来ない。
その櫛を前にして、貞一はくずおれて涙するのばかり。
そしてその後姿を見て、霧江は何も声をかけられずその場を去るほかないのでした……

それから貞一は、魂が抜けたかのように力なく日常を過ごします。
そんな無力感に苛まれていたのは、霧江もまた同じ。
何故なら彼女の祖母であり、夕子の妹でもあった紫子が、いまだあの影に悩まされていたのです。
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夕子は紫子を許し、この夜に恨みを残さず消えて行きました。
ですがそれを知ることの無い紫子は、もう現われないであろう夕子のあの黒い感情の塊であった影しか知らないまま今に至ります。
そしてそれは今後改められることはありません。
旧校舎を取り壊したことで、もうこの学園にはいなくなった。
そのことだけはわかっているものの……夕子の面影を持つ霧江の姿を見るたびに一瞬目を見張ってしまうのです。
紫子の中では、まだ何も終わってはいない。
そのことを、霧江は思い知らされたのでした。

これが祖母の受けるべき報いなのか。
そう持ちかけられた貞一は、こんなことを言うのです。
夕子が許すことが出来たのは、紫子のためなのではないか、と。
夕子は記憶を捨てたとき、恨みを忘れた何も無い存在になるはずだった。
でも夕子は貞一とであったとき、確かに夕子としての人格を持っていた。
旧校舎の幽霊だと自分のことを言っていた。
それは誰かの流した怪談に自分を重ねていたから。
「見たいように見られる」。
夕子は学校の怪談として見られることで、その形を維持してきた……
過去の事実を知っているのが紫子だけだと言う事実から、おそらくあの七不思議は紫子が流したもの。
その怪談が、「今の夕子」を作った。
どんな理由だったとしても、それが夕子を救ったのではないか……
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貞一の話を聞いて、霧江はそれを祖母に伝える決心をします。
そんな霧江に貞一は、それは、紫子さんが持っているべきものです、と言ってあれを手渡すのです。

霧江は貞一から受け取ったものを紫子に手渡します。
夕子の、櫛を。
ですが紫子は、夕子を裏切った私にそれを持つ資格は無いと目をそらすばかり。
霧江はそれを否定し、言うのです。
夕子は紫子を守る、と恨みに飲み込まれても思い続けるほど強く思っていた。
紫子を生きたまま苦しみ続けるように望むような人ではないはずだ。
あの恨みの塊のような影を見せているのは紫子の、後悔に暗く染まった心が見せているもの。
夕子はもういなくなった。
それは旧校舎がなくなったからじゃない、夕子が紫子を許したからだ。
夕子はずっと紫子を見ていたんだ。
死者の心は変わる。
変わらないのは生きているもののほうだ。
夕子にはもう未練も恨みも、何も無い。
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そう語る霧江に、紫子ははっきりと夕子の姿を見て……
冷たく硬く凍りつき、変わらなかった紫子の心は、ようやく解け始めたのです……

紫子の気持ちは救われたものの、貞一は以前抜け殻のようでした。
怪異調査部の活動をしては見るものの、貞一が追い求めているのは本人も途中まで気づいてはいないながら、夕子の存在に過ぎなかったのです。
それに気がつき、やがて今のこの学校に夕子がいないときがついた貞一は……

しばらくたって、学校中にうわさが立ち始めます。
旧校舎が取り壊されて以来、さっぱり聞くことのなかった夕子の噂が再び聞こえ始めたではないですか。
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一体これはどういうことなのでしょうか?
まさか消えて行ったはずの夕子がこの世に舞いもどってきたとでも言うのでしょうか?
物語は、フィナーレへと向かうのです!!

というわけで、とうとう完結を迎える本作。
夕子の過去もすべて白日の元に明かされ、紫子の心の闇も晴らされました。
こうなると問題は貞一の心だけ。
夕子を失い、ぽっかりと穴の開いた彼の心を生めることはあるのか?
全てはこの後の結末にて明かされるのです!!
物語自体は本巻の半分くらいで完結するものの、いろいろと物議を醸し出しそうなその結末の後を描いたエピソードを収録しています!
そんなエピローグと描きおろしのおまけで、登場人物達がその後それなりに幸せになっていることが見て取れますので、哀しい結末を覚悟していた方もご安心ください!!
個人的に大好きだった霧江さんも、なんだかんだと楽しそうでよかったよかった!!

とうとう完結となる、「黄昏乙女×アムネジア」最終第10巻は全国書店にて発売中です!
貞一の夕子への思いは?
夕子が最後に求めた願いの結末は?
感動のラストが待っていますよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!