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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 スーパー=キャッティ/かけろセントール ほか」です。
作者は藤子・F・不二雄先生。
小学館さんより刊行されました。

さて、本作は59年から61年にかけて、講談社さんから刊行されていた学年誌に連載されていた作品を集めたものです。
収録されているのは、表題作にして原作付きの絵物語と言う珍しい作品「スーパー=キャッティ」、F先生唯一の西部劇の連載作品「かけろセントール」、そしてあの有名な作品を絵物語化した「かいじん二十めんそう」の三作品。
どの作品も見所満点なのですが、今回はやはり今巻唯一の漫画作品、「かけろセントール」を紹介したいと思います!

ボラント市にやってきた、ドイルとビリー。
彼らは愛馬のセントールとヒロンに乗り、西部の街の治安を護るために旅をしています。
ですがたどり着いたボラント市に人影はありません。
不思議に思いながら街を歩いておりますと、数名のガラの悪い男たちがたむろしております。
この町に何かあったのか?と尋ねますと、彼らはこれからちょっとしたいざこざがあるから皆ひっこんでいるんだとのこと。
一体誰がいざこざをおこすんだ、と突っ込んで尋ねてみますと……
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お前さんたちとおれたちだ!と怒鳴りつけてくるではないですか!!
このまま黙って立ち去らないか?と要求してくる男たちですが、そんなことを言うと言うことは何か後ろめたいことがあるのでしょう。
実際彼らは、ドイルが政府の関係者であることを、この町にやって来る前に突き止めていまして。
首を突っ込まれる前に脅して街からさらせようとしたのでしょう。
ですがドイルもビリーも、そしてセントールとヒロンもこういった荒事にはなれています。
ガラの悪い男の一人が腰の銃に手をかけたが早いか、たちまち対応して男たちを無力化!
二人のあまりの強さに、ガラの悪い男達は尻尾を巻いて退散。
着くなり起こったトラブルに、二人はため息をつきながら保安官事務所に向かうのでした。

そもそも二人がここに来たのは、この街で行われる市長選挙に悪いうわさが立っているからでした。
市長選挙は二人の候補者で争われるはずだったものの、投票日の前日に一人の候補者が何者かに銃殺されてしまったと言うのです。
保安官の調査では犯人の証拠はつかめずじまい。
結果として、街の住民達は市長が犯人なのでは無いか?と囁きあうだけで今に至るという事になりました。
市民からの密告状が大統領に届き、ドイルはここに調査しに来たのですが……その密告状は無記名。
それでは保安官は表立って動くことができません。
協力が得られなくて残念だ、事務所を後にしようとする二人ですが、そんな二人に保安官は忠告をするのです。
この事件を調べようとしたものは、皆不思議な死に方をしている。
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無事帰りたかったら深入りはしないことだ、と。

事務所から帰るドイルとビリー。
そんな二人を、じっと見つめている男たちがいました。
噂の市長と……不敵な笑みを浮かべる男、マン=ハンターです。
どうやらこのハンター、腕がたつらしいドイルを始末するためにわざわざ市長が呼んだようで……
事件を探ったものを怪死させて言ったのは、この市長の手によるものだと見て間違いないでしょう!
その魔の手は、ホテルに宿泊している二人のところへ早速伸ばされます。
ホテルの支配人も、働いているボーイも、市長を恐れて二人には非協力的。
困り果てているところを、刺客がやってきて窓の外から狙い撃ち使用としていたのです!!
このままならば二人は撃ち殺されていたかもしれません。
ですがそこで活躍したのが、愛馬セントールです!
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男がよじ登って狙撃しようとしていた木に体当たりして、刺客を木から落とし、見事二人を救って見せたのでした!

刺客たちを締め上げて情報を吐かせようとしましたが、張り切りすぎたセントールが手酷くやっつけてしまい、はかせる前に意識を失ってしまいました。
仕方が無いとばかりに二人は、候補者が殺害された現場、町外れの空き家を探ってみることにしました。
空き家に向かう二人を、先日のガラの悪い男たちがピッタリマーク。
二人はあの男達の腕なんて知れたものだ、とあえて追い払うこともせず空き家に向かうことにしたのです。

その集団を無視して調査をするドイル。
ビリーはセントールたちとともに、外で追っ手の動きを牽制しています。
ですが、空き家の中で50口径の場かでっかいピストルの弾が見つかり、これが証拠になると喜んでいる隙に空き家が包囲されてしまったのです!
二人はセントールとヒロンも屋内にいれ、相手は30人くらいだからたいしたことは無い、と凄く自信満々で迎え撃ちます。
確かにその腕は抜群で、五分以上の戦闘繰り広げるのですが……
そこで刺客達はとんでもない作戦で攻撃してくるのです!
火薬のたっぷりは言った樽を空き家の方へ転がし、その樽を射撃!!
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大爆発が巻き起こり、空き家は崩れかけ、燃え上がってしまったのです!!
幸い即死するようなことはありませんでしたが、倒れてきた柱からセントールをかばってドイルが柱の下敷きに。
すかさずビリーが助け出したものの、ドイルは意識を失ってしまいます。
燃え上がる空き家、周囲を取り囲む刺客たち。
こちらは戦えるのがビリー1人な上、けが人を抱えている状況。
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果たしてこの窮地から逃れることが出来るのでしょうか!?

というわけで、手に汗握る展開が楽しめる作品を収録した本作。
西部劇はあまり描いていないF先生ですが、射撃が得意なのび太がらみで、ドラえもん作中でそういった雰囲気のものを何回か描いているだけのことはあり、結構こう言う作品が好きな感じを受けて取れます。
この後も、霧の中に現われる幽霊を調査する話や、ドイル以上の銃の腕前を持つキューピッド・サムとの死闘を描く話といった、西部劇という舞台を生かしたエピソードが展開。
ですが人気のほうはいまひとつだったのでしょうか、最終回では何故か突然UMAが登場し、バトルを繰り広げる展開に!?
これはこれで意外性があって面白いのですが、このあたりの背景なんかを想像するのもいいかもしれません!!

そのほかの「スーパー=キャッティ」「かいじん二十めんそう」は原作がF先生でこそないものの、豊富に描かれているイラストは確実にF先生作品と言っていい雰囲気に満ちています。
「二十めんそう」のほうは後半から作画があのしのだひでお先生に変更されているのですが、連続した一本の作品であると言う判断から後半も豪華に収録!
藤子不二雄先生と縁深いしのだ先生だけに、こちらも興味深く読めることでしょう!!

激レアな絵物語を収録した、「藤子・F・不二雄大全集 スーパー=キャッティ/かけろセントール ほか」は全国書店にて発売中です!!
いよいよ大全集も残すところ5冊。
レアな作品揃いのラインナップの中でも。特にレアな本作のようなものも残っていますし、最後まで着いていくしかないと言った感じですね!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!