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本日紹介いたしますのはこちら、「ギャル男VS宇宙人」です。
作者は吉沢潤一先生。
小学館さんのビッグコミックスより刊行されました。

吉沢先生はヤングチャンピオンの漫画賞を受賞し、08年にデビューした漫画家さんです。
09年よりヤングチャンピオンにて連載された「足利アナーキー」は人気作となり、その後は活躍の場を秋田書店さん以外の場にも広げるようになりました。

さて、本作はタイトルが示すとおり、いまや以前に比べるとその勢力を弱めつつある種族(?)、ギャル男と宇宙人が対決する作品です。
タイトルから受ける印象どおり、バカ要素の強い作品ではあるものの、ただそれだけではない本作独自の戦いが繰り広げられるのが特徴!
一体その戦いとは、やって来る宇宙人とは……?

渋谷を根城にするギャル男、ムラタ。
もはやこの近所で彼を知らないものはいない、と言うくらい有名な村田ですが、それはカッコいいとか可愛いとか、実は強いとか権力を持っているとか、そういった類のものではありません。
ライオンキングのシンバをイメージしたと言う、たてがみのように広げた金髪。
そんなヘアスタイルに、持ち前の体系があわさって
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まるで三頭身のように見えるから、だったのです!
そんな村田が慕い、よくつるんでいるイケメンのテツ。
こぎれいな服装で、女性にもモテモテの彼ですが……怪しいイベントを行ってお金を稼いだりもしているダーティーな人物でもあります。
とは言え根っからの悪人というわけではありませんで、ムラタとはなんといいますか、しっかりとした絆が結ばれている仲のようです。

そんなムラタとテツ、物凄く非合法な趣味を持っていました。
テツが引っ掛けた女性にいわゆる「薬」を飲ませ、キマった状態で行為に及ぶ、という!!
やっていることは正直真っ黒ですが、行為自体は同意の上でやっているので手が後ろに回ることはないようで……
いつもなんらかのトラブルに見舞われてムラタがしっかりとやれることは無いようですが、テツがすかさずフォローを入れることもあり、二人はなんやかんやと楽しく毎日を過ごしていたのです。
そんな行為をした帰り道。
二人は、いかにもと言った感じのホストに絡まれました。
お前が有名なムラタか、と無遠慮に村田の頭を触ろうとしてくるホスト達。
テツがそこに割って入り、珍しいのはわかるが、嫌がっているんでこの辺で……とやめさせようとすると、ホスト達はむっとした様子でマジ空気読め、でけえ顔してるのが悪いんだろう、と睨みつけてくるのです。
テツはそこで、でけえ顔してるのはどっちだよ、と真剣な表情でホストたちに視線を返すのですが……
そこに絡んできたホストの仲間達が続々と集まってきてしまうのです!!
喧嘩なんかになってしまったら、ただではすまなそうな状況。
ですがそこで、テツはムラタにこう言うのです。
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まぁ、俺が何とかするから。ダメだったらゴメンな。
そんな男気溢れる言葉に、ムラタは震えます!
俺も何とかします!共に死にましょう!と一緒に戦う旨を告げるのです!!
が、そこでホストのリーダー格らしき男、トモヤが現われました。
なんとこのトモヤ、以前からテツを自分のホストクラブで働かないかとスカウトしていたほど買っている上、テツからムラタのことも聞いていたそうで。
無事帰ることが出来たばかりか、無礼を働いたホストたちに頭を下げさせてくれたのでした。

窮地を乗り越え、そしてお互いがお互いを大事に思っていることがわかった二人。
二人でその時の言動をからかったりしながらも、その絆の確かさを確認して笑いあっていました。
そんな二人を祝福するかのように降ってくる、雪。
早く彼女作れだとか、それなら女を紹介してくれだとか、他愛ない話をしながら歩く二人。
道中にある路地裏にふと視線をうつしてみると……そこにいたのです。
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腕を巨大なハンマーのような、奇妙な形にしている男と、その男に叩きのめされているらしい哀れな犠牲者が……!
最初はまだ、薬が残っているのかな?と思う二人。
ですがどうやら二人が同じものを見ていることに気が付き、それが実在するものだと言うことがわかります!
やがてその巨大な片手の男は、こちらに気が付いたようで……!!
二人はわけもわからずその場から逃げ出すのです!!

その時はそれで終わりました。
あの異常な風体の男、どうやら姿を見られたから二人を始末しなきゃ!と思っているわけでは無さそう。
その証拠(?)に、二人はあの異常な風体の男と思われる男が、ごく普通の人間の姿で生活しているのを見かけたのです。
どうやら男も厄介ごとを避けて目立たぬよう生活している様子。
このままならば、何事も無くやり過ごせそう、だったのですが……
その後、ムラタとテツの共通の女友達であるミュウと、その怪しい男が交友を持っているらしいことが発覚。
それだけならばまぁ自由恋愛、とスルーすることも出来ましょう。
ところがミュウとと怪しい男が関係を持った後、ミュウに強烈なアレルギー反応のような症状が現われ、全身痒みに襲われて体がボロボロになってしまったのです!!
しっかりとした原因なんかはわかりませんが、明らかにあの怪しい男が怪しい。
そう思った二人は、得体の知れなすぎるあの怪しい男を追いかけ、公園で三人きりになることに成功します。
揚げ足取りみたいな問答で、とにかく怪しい男のせいでミュウの体がおかしくなった、と比田すら決め付けるムラタ。
挙句の果てにお前は宇宙人だろう、宇宙人の汚いのを入れたから病気になったんだ!といちゃもんを付け始め……
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このままじゃ埒が明かないと考えたのか、そこでテツは怪しい男を
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バットで殴打!!
めんどくさいから全部吐け、と実力にモノを言わせようとするのです!!
……が。
怪しい男は言うのです。
こっちはマークされないように殺しは控えてるのに、黙ってりゃ調子に乗りやがって。
まぁいいや、おまえらみたいな頭の悪いガキをいじめたかったんだよ。
いい終わるが早いか否か。
怪しい男の姿が
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あの時のように拳を肥大化させた、明らかに異様なものと変じていたのです!!
どう考えても普通じゃない怪しい男!!
たった二人で、武器はバット一本……
果たしてこんな状況で、友達の意趣返しを果たすことはできるのでしょうか!?

というわけで、それはもう小規模な対宇宙人バトルが繰り広げられることになる本作。
人類のためとか、護りたい人がいるから、迫り来る脅威から逃れるためと言った、怪物とのバトル物の鉄則をすべて排除した展開が本作の目玉。
使命感とかそういったものとは無縁ながら、仲間が痛い目に合わされてはただじゃ置けない、という思いだけで戦うギャル男。
対する宇宙人も、本作中で明かされていないだけかもしれませんが、それにしても人類滅亡だとか地球侵略だとかと言った大それた野望を持たず、ただ普通に日常を送りつつも、時たまその欲望を吐き出すだけの小規模な被害を齎すだけで。
種族の存亡どころか死者すらほとんどいない、史上最小と言っていい規模の宇宙戦争が楽しめるのです!!
さらに驚くべきなのは、この後繰り広げられるバトルです。
普通の対宇宙人バトルならば、とんでもない武器だとか、普通で無い能力だとか、大勢の仲間の力を集結させて撃退だとか、対話での解決だとか……そんなあたりが考えられるところでしょう。
ところが本作では、そのどれでもない方法で宇宙人に戦いを挑むのです!!
まずムラタが手を出すのは、普通に「毒物」。
ここまでならば「とんでもない武器」あたりに分類してもおかしくないかもしれません。
ですが、勝負を決定付ける最後の武器は……それこそ「ギャル男」が武器にするのにふさわしい、今までに無いアイテムなのです!!
一体それはなんなのか!?
驚愕の結末が待っているのです!!

史上最小規模の宇宙決戦、「ギャル男VS宇宙人」は全国書店にて発売中です。
様々な面で予想不能な展開が待っている本作。
バカ漫画であることは疑いようもありませんが、ただバカなだけの漫画ではない展開に仰天すること間違い無しですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!