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本日紹介いたしますのはこちら、「藤子・F・不二雄大全集 とびだせミクロ」第1巻です。
作者は藤子・F・不二雄先生。
小学館さんより刊行されました。

さて、本作は63~65年に連載された、「とびだせミクロ」の63~4年に「幼稚園」「小学一年生」掲載分を収録した作品になっています。
主人公が万能ロケットを操り、悪人を懲らしめていく。
そんなお話なのですが、ぶっちゃけ前期で刊行された「すすめロボケット」によく似ております。
それもそのはず、そもそも本作は好評だった「海の王子」を幼年向けにしたような作品をと注文されて生み出した「ろけっとけんちゃん」と言う作品が好評となり、似たようなものをと頼まれて「すすめロボケット」を制作。
それも好評でさらに似たようなものをと頼まれて描いた作品だと言うのです!

ムクリと起き上がるなり、今日は元日だ!とおめめぱっちりの少年、けんちゃん。
おじいさんの博士に新年のご挨拶をします。
そして元日から早速どこかへ遊びに連れてって、とおねだりするのですが、博士はなにやら忙しくてそれどころではない様子。
ですが代わりにいいものをあげる、とプレゼントを手渡してくれたのです。
あけてみればそれは、カウボーイとかがしているホルスターチックなものがついているベルトでした。
なんとなしにかっこよくはあるものの、これって一体なんなんでしょう。
とりあえず身につけてみたけんちゃんに、博士はそのホルスターをぽんと叩いてごらん、とアドバイス。
早速試してみると、
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そこから小さなロケットがとびだしたではないですか!!
そしてそのロケットは見る間に大きくなり、けんちゃんがらくらく乗れるくらいの大きさになりました。
このロケットの名前はミクロ。
なんだか凄そうなロケットに、博士は乗り込むように指示。
ハンドルを動かすと飛ぶよ、とまだ子供のけんちゃんに無茶振りです!
とはいえなんか優秀なAIでも詰んでいるのでしょう。
ミクロはスイスイと空を飛んでくれるのです!!
すっかりいい気分のけんちゃんは、機内にたくさんあるスイッチを適当に押してみます。
するとミクロは物凄い勢いで回転!
そのまま海の中へと突っ込んでしまったではないですか!!
しかしミクロは高性能。
水の中でもへっちゃらです!
ミクロは難なく水中から浮上し、博士の待つ自宅へと戻るのでした!

おうちに帰ると博士が出迎えてくれます。
そしてけんちゃんがもどれ、といいながらホルスターをぽんと叩きますと、今度はミクロが見る間に小さくなって戻っていきました。
なんだか物凄すぎるロボットをもらったけんちゃん。
博士はそれをいいことに使うんだよ、とざっくり忠告して家の中へと入って行くのでしたとさ。
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あくる日のこと。
けんちゃんは西部劇のガンマンのようにミクロを発射し、悪いやつにぶつける訓練をしておりました。
そこに素敵なロケットねとやってきたのはまりこちゃん。
二人はすぐ仲良しになり、けんちゃんはまりこちゃんをロケットに乗せてあげることにします。
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そのままミクロはまりこちゃんのおうちへ。
彼女のおうちはなかなか大きなおうち。
まりこちゃんは元気よく自宅へ帰るのですが、なんとそこではまりこちゃんのパパが縛られ、家が荒らされているではありませんか!!
なんと強盗がはいってダイヤを盗られてしまったんだそうです!
わかりやすい足跡がついていた為、それをたどって強盗を追うことにしたけんちゃんとまりこちゃん。
やがてその足跡は海にまで続いていることがわかりまして、そこからはミクロに乗って追いかけることにしました。

程なく強盗が乗っているモーターボートに追いついたミクロ。
ですが強盗たちもただすんなり追いつかれるはずもありません。
おもむろに爆弾を取り出し、投げつけてきたではないですか!!
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その爆弾、見事ミクロに命中!
哀れミクロINけんちゃんまりこちゃんは海の中へと落下していくのでした……

ほくそ笑む強盗ですが、ミクロはあの程度じゃびくともしません。
そのまま水中から忍び寄り、脅かしてやるぞとミクロのボディからにょっきりと大きなノコギリを伸ばし、

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ーターボートを真っ二つにしてしまったのです!!こわ!!

見事強盗を捕まえ、ダイヤを奪還したけんちゃん。
そのダイヤをまりこちゃんのパパに届けると、ありがたいとパパはお礼の品をくれました。
あけてみるとそれはヘルメット。
どうしてこんなヘルメットを彼がもっていたのかは謎ですが、ピッタリのそのヘルメットはけんちゃんのトレードマークに。
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こうして彼が悪者をやっつけていく奮闘の日々が幕を開けるのでした!!

というわけで、初期のF先生作品に多い勧善懲悪アクションモノである本作。
児童向け漫画と言うこともありまして、非常にシンプルでストレートなお話が楽しめます。
そして他の作品の例に漏れず、子供向けだからと言って油断できない、きらりと光る要素がたっぷり!
大人でも退屈しない内容となっているのです!!

最初こそ身近な事件の解決をしていきますが、物語の規模は見る間に大きくなっていきます。
恐竜の生き残りを助けてみたり、賢くなった動物達と戦ってみたり、アラビアンナイトな感じの活劇を繰り広げてみたり、と大長編ドラえもんのを思わせるお話が多く収録。
さらに、人類を小さくしようと目論む男との戦いや、巨大な銅像が動くお話など、断片的に大長編を思わせるシーンが散見されるお話もありまして。
このお話が、後々生み出されていく名作の原型であると考えながら読むと、また違った味わい方ができるのではないでしょうか!?

そして雑誌の企画ページや、ただでさえ単行本未収録なのに、雑誌未発表の没ストーリーなども収録されている等など、オマケも大充実!!
いつにも増して見逃せない内容になっていますよ!!

少年+ロケット三部作の第3作、「藤子・F・不二雄大全集 とびだせミクロ」第1巻は全国書店にて発売中です!
F先生の魅力がギュッと詰め込まれた本作。
三部作の第1作「ロケットけんちゃん」の刊行も間もなくに控えておりまして、そちらも待ち遠しいところです!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!