本日紹介いたしますはこちら、「少年少女漂流記」です。
小説すばるに連載されていたものをまとめ、集英社さんから刊行されました。

作者は古屋兎丸(ふるや うさまる)先生と乙一(おついち)先生。
古屋先生は月刊ガロで1994年にデビュー後、「鈍器降臨」等の単行本を多数発行し、スピリッツに「π」を長期連載。
その後も「彼女を守る51の方法」等の話題作を生み出し、現在はジャンプSQで「幻覚ピカソ」を連載しています。
緻密で丁寧な絵柄が特徴で、多種多様な題材を取り上げた漫画を生み出し続ける多彩な漫画家です。
一方の乙一先生は1996年に「夏と花火と私の死体」で若干17歳の若さにしてジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞した小説家です。
その後も様々な作品を発表し、「GOTH リストカット事件」で第3回本格ミステリ大賞を受賞。
その後も「ZOO」「暗いところで待ち合わせ」「きみにしか聞こえない」「手を握る泥棒の話」「KIDS」「死にぞこないの青」「失踪HOLIDAY」など様々な作品が映画やドラマなどになっています。
12月には「GOTH」の映画も公開予定でますます上り調子。
……最近ちっとも新作を書いていないのが玉に瑕ですが。
漫画好きからすると「JOJOの奇妙な冒険 The Book」が有名でしょうか。

さてこの「少年少女漂流記」は小説すばるで連載されていた変り種です。
そのおかげもあり俺自身出てることを知らずに購入したのは発売だいぶ後でした。
どういう話なのかといいますと、十代の少年少女が直面する悩みや事件からなる様々なドラマを描いた作品です。
乙一先生と古屋先生らしい、文学的というか、精神世界を描いた様な摩訶不思議な展開が続きます。
8人の少年少女たちがそれぞれまったく別の場所で別の悩みを抱え、あるものは前向きに立ち向かい、あるものは世の中を憂い、あるものは自分の立ち位置だと諦める……
そんなとき、巨大な台風が関東を襲います。
それは第8話の主人公の少年が夢か現かわからぬままに育てていた竜巻と融合し、凄まじい大きさに成長します。
そしてそれはまるで示し合わせたかのように主人公達を渦の中に巻き込み、一つの場所に集めます。
元の場所に帰るには皆が帰りたいと願えばいい……ですが主人公達は二つに割れます。
帰りたいものと、帰りたくないものに。
主人公達は自分の考えをぶつけあうのですが……
最後に主人公達に起きる結末はどちら側の物なのでしょうか。

この作品は主人公達の「未来への不安と希望」が描かれた傑作です。
奇抜で奇想天外な主人公達に起こる数々の出来事はきっとあなたを驚かせ、最終的にあなたの心に何かを残すことでしょう。
少々展開に突飛過ぎるきらいはありますが、最終話でそれを補って余りあるすばらしいまとまりを見せてくれるので大丈夫です!(多分!)
ついでにファンにはたまらない乙一先生と古屋先生の対談も9ページに渡り掲載。
若い学生さん達に贈る、そしてかつて青春時代をおくってきた全ての人に読んでもらいたい「少年少女漂流記」は全国の書店で発売中です。
箱入りでA5版の特殊な装丁で見つけづらく、おまけに2007年初版の本ですので店頭に無いかもしれません。
そんなときは注文だ!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!

少年少女漂流記
集英社
古屋 兎丸

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