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本日紹介いたしますのはこちら、「偽書 ゲッターロボ ダークネス 始動編」です。
白泉社さんのJETSコミックスより刊行されました。
現在はヤングアニマル増刊Arasiにて連載されていますが、本巻に収録されているのは休刊直前のマガジンZにて連載されていた物です。

作者は西川秀明先生。
西川先生や現在同時に連載されている「職業・殺し屋。」の紹介は「西川秀明」のテーマにてまとめておりますので、よろしければそちらもご覧下さいませ。

さて、本作は言わずと知れたロボット漫画(&アニメ)の傑作、「ゲッターロボ」を西川先生の手で再構築した作品です。
西川先生らしいド迫力の戦闘シーンと大胆なアレンジが加えられた刺激的な作品となっています。

物語は荒廃しきった東京から幕を開けます。
東京は8年前に浅間山麓で原因不明の大爆発が起こり、人工物から自然物、生物にいたるまでが蕩けて混ざり合った混沌の世界となっていました。
そしてそのころから「イデア」と名乗る化け物のような存在が現れ、荒廃した東京に細々と生きる人間たちを苦しめているのです。
その日もイデアたちは自らの支配を受け入れない人間を排除していました。
手も足も出ず蹂躙されていく人間たちですが、そこに突如一人の男が現れたのです。
両腕に鋼鉄の義手を身につけたその男の名は了。
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彼は人間離れした破壊力を発揮し、イデアたちを瞬く間に撃退したのでした。

助けたお礼として食事をご馳走になる了。
ですが出てくる料理は魚に歯ブラシが融合していたりと、まともな食材はひとつとしてありませんでした。
かまわずに食べる了ですが、奇妙に融合していたのは食材だけではなく
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了が助けた人々も、だったのです。
了はそれを見た瞬間に「ゲッター線照射障害」だと理解するのですが、まさにその瞬間再びイデアが攻め込んできました。
現れたイデアはかなり巨大で凶悪。
しかしそれに臆することも無く、了は「奴らに奪われたすべてを奪い返してみせる」と立ち向かうのでした。

人間離れした戦闘能力を有する了といえども巨大すぎるイデア相手ではさすがに分が悪いようで、劣勢に追い込まれてしまいます。
止めとばかりに巨大イデアがこぶしを振り下ろすと、地中から巨大なドリルが伸び、逆にイデアのこぶしを貫板ではないですか!
地中から姿をあらわしたのは
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ゲッターII!!
了はゲッターロボのパイロットの一人だったのです!
そしてその場でゲッターに乗り込み、武器すら使わずにイデアをズタズタに引き裂きました!
了は自分たちをイデアに奪われたすべてを奪い返す奪還者(ゲッター)だと宣言。
イデアの総大将、早乙女賢を殺す決意を固めなおすのでした!


とにかく西川先生らしい激しいシーンの連続が息をもつかせない圧巻の作品となっている本作。
キャラクターもリョウ・ハヤト・ムサシの3人……という構造は変わらないものの、いろいろと大胆に設定の変更が加えられています。
そもそもリョウが「竜馬」では無く「了」で、両腕が義手という時点でもはや別人なのですが、ハヤトやムサシはもっと別人になってます!
ハヤトはクールな2枚目という設定はそのままなものの、常時精神安定剤を使っており、いったん戦闘衝動を開放すると狂ったように暴れまわる戦闘マシンになってしまうというイカレっぷり!
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戦闘スキルは了以上、その他のスキルでも3人中最高ですがこの性質のためにリーダーにはなれないんだそうです!
そしてムサシは
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ツインテールで16歳の女の子。
……変化にもほどがありますよ!!
もう完璧に原作の面影なしです!!
これも時代の流れなのか……!!
三者三様のパイロットたちですが、イデアへの憎しみを持っているという点では共通。
やさしくてかわいいムサシですらイデアに対しては恐ろしいほどに豹変するくらいで、過去何があったのかが気になるところ。
今後明かされるであろう衝撃の過去が楽しみです!

ストーリーにもイデアが「光」でゲッターが「闇」であること、暗に示唆されている別のゲッターロボの存在、アンチゲッター線という聞きなれないもの……等などの伏線がたっぷりと張られ、とにかく先が気になるところ。
ゲッターI(今作では1,2,3ではなくI,II,IIIになってます)の頭部の半透明部の下に見える牙のようなものなど、語られていないのに気になる点も多く、多くの仕掛けも用意されていそうです!
また、主題歌の歌詞を用いた台詞群にも注目!!
始動編というタイトルどおりゲッターのパイロットの紹介的な要素に終始した感のある一冊ですが、それだけに終わらない面白さがありますよ!


本物の偽者、「偽書 ゲッターロボ ダークネス 始動編」は好評発売中です!
大迫力のバトルに謎が謎を呼ぶ展開、そしてまさかの萌えまで搭載されたゲッターロボの最新作、ゲッターファンも西川先生ファンも避けては通れない注目の作品になっています!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!

……ちなみに帯に描いてあるような卑しい、「職業・殺し屋。」的なエロス展開は(少なくとも本巻には)ありませんのでご注意を……