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本日紹介いたしますのはこちら、「団地ともお」第18巻です。
小学館さんのビッグコミックスより刊行、ビッグコミックスピリッツにて連載されています。

作者は小田扉先生。
本作の過去の紹介は「小田扉」のテーマにて記事をまとめていますので、よろしければそちらもご覧ください。

さて、はっちゃけ小学生、ともおとその周りの人々の日常を描く本作。
そのほとんどが団地化学校を舞台にしているにもかかわらず、いまだ色あせぬ面白さを誇っております。
そんな中本日紹介したいのは、「ニュースソースは何だともお」。
珍しくともおが学校の係の仕事に没入するお話です!!

ふと壁に張り出されていた学級新聞の記事が気になったみつお。
その記事とは、一度に子供10人を食べる……という無茶な設定の「怪人ワイ」に関してのものでした。
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この記事を書いたのは他ならぬともお。
ともおは鼻水をたらしながら、自信たっぷりに面白い記事だろうというのですが、みつおはこの怪人ワイってのはなんなのかわからない様子。
ともおによれば、前回の学級新聞にも載っていて、その続きを書いてやったんだそうで。
気になったみつおがバックナンバーをあさってみると、確かに怪人ワイの記事がありました。
その記事の書き手に尋ねてみれば、どうも他のクラスの学級新聞の記事を参照して書いたんだとか。
そのクラスの友人をあたって詳しく調べてみれば、どうもこの怪人ワイの記事はいろんな学年のいろんなクラスが学級新聞の記事にしているようなのです。
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怪人ワイのことが書かれた学級新聞を調べていくともおとみつお。
そこには「ため息で家がとぶ」「つねにチェーンソーを持っている」「体温が500度」「身長10m」「重さ1トンの意思下駄を履いている」「サーベルタイガーなみの歯」などなど、すさまじいと言うか、やりすぎな感の強い描写が並んでいます。
これらの記事を総括した特集記事を書こう!とノリノリになるともおとみつおですが、このイカれた時代にようこそな記事群の中で6年1組のものだけ毛色が違うことに気が付きます。
「意外と子供に優しい」。
何でこんなことを書いたのかと、その記事の書き手である金子に話を聞いてみるのですが、なんだか言い辛そうな感じで「そんな怪人がいてもいいだろ?」とよくわからない理由を語るばかり。
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そんな説得力のかけらも無い弁解に、ともおたちはこの記事は却下だなと判断するのでした。

出来上がった怪人ワイ特集号。
そのトップを飾るイラストは、「角が5本」「泣き声がガラーンゴローン」などの要素も加え、絵が達者なより子の筆によって描かれた
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インパクト大なものでした。
あまりの衝撃に、他のクラスからわざわざ見に来るものがいるくらいの話題となったのです!
ですがそのギャラリーの中に、うちも怪人ワイの特集を組もうと言うものもちらほら。
これは負けていられないとともおはみつおに次の手を打診するのです。
そこは頭脳派のみつお、ナイスな手を考え出しました。
この学校の様々な学級新聞の更なるバックナンバーをあさり、いつ誰が怪人ワイの記事を書き始めたのかを調査しようと言うことにしたのです!

程なくしてともおが見つけたのは、ワイと名づけられてはいないものの「学校の怪人」と言う名で書かれている記事です。
角が生えていて身長2m、子供をすぐに叩く……いまいちインパクトが弱めですが、調べていくうちに「体にYの刺青がある」との記事を見つけ、この怪人が怪人ワイの原型である確信をもつのです!

この記事が書かれていたのは2年前、そして当時の4年生。
今の6年生が書いたようです。
この記事の生みの親の調査はとりあえずおいておいて、今はこのリアル怪人ワイの特集記事を書くほうが先。
ともおたちは早速再びより子の協力を得て、「真・怪人Y」の特集号外を作るのでした!

その原版を眺め、
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これまた大反響間違い無しだとほくそ笑むともおとみつお。
ですがそんな2人のもとへ、先ほどの6年生、金子が現れました。
なんと怪人ワイのもとの記事の生みの親は自分だと言うのです!
実はこの怪人ワイ、モデルはかつて自分のクラスの担任だった山野先生だというのです。
でかくて怖くて堅物で、ピクリとも笑わず頭ごなしにしかる……そんな先生をからかうために書き始めたのだそうですが、クラスメートにはおもいのほか好評。
どんどん調子に乗って記事を書き続けてしまいました。
ついにはその記事が山野先生の目にも止まってしまうのですが、山野先生はしかりつけるどころか、お前はこういうの得意だもんな、これからもがんばれ、と長い八重歯を出してにやりとしながら激励してくれたのです!
その年で山野先生は隣町の中学校に転任してしまいました。
そして怪人ワイの記事は金子の手を離れ一人歩きしてしまい、現在に至る……と言うわけのようです。
ちなみに怪人ワイの名前の由来は、年中タンクトップを着ていてそのシルエットがYを連想させ、更にイニシャルがYだったためなんだそうで。
山野先生は怪人ワイが自分だと気付いていたはずなのに、怒らなかった。
堅物だけど冗談が通じる、いい先生だったのに……
自分がからかったのが始まりとはいえ、これ以上山野先生が貶められるのは勘弁して欲しい!
金子はこれ以上怪人ワイの記事を書かないでくれとともおたちに懇願するのでした。

考え込むともおたちですが、金子はじゃあ実物に会ってくれ、そのイラストほどおっかなくないから……と山野先生のいる学校へと連れて行ってくれました。
野球部の顧問をしていると言う山野先生。
さっそく会いに行ってみると、山野先生は気さくに迎えてくれるのですが……
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実物はイラスト以上におっかないのでしたとさ……

というわけで、学校に伝わる謎に迫っていくお話が収録された今巻。
この他にもともおたちがなぜかアメリカナイズされたお話、今は亡きおばあちゃんの登場するお話、相棒と呼べる友人がおらず、誰にとっても3番手に過ぎないと悩むよしのぶの話などなど、相変わらず様々なお話が収録されています。
今巻は比較的ファンタジックなお話や感動系のお話が少なく、笑いの比重が大きくなっているのです。
ギャグだけでも、酔っ払って失われた記憶をたどって行くお話があったり、最初から最後まで駄洒落に終始したお話の後、小田先生が反省のためサイレントに挑戦したりと意欲的にいろいろな試みがされており、読者を退屈させません!
今なお進化を続けようとする小田先生、流石です!

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今巻出番のなかったスポーツ大佐もおまけで活躍する今巻。
なんとゾンビになってしまったスポーツ大佐の運命やいかに!?
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!



団地ともお 18 (ビッグコミックス)
小学館
2011-06-30
小田 扉

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