本日紹介いたしますのはこちら、「ロマンシア『浪漫境伝説』」です。
1988年に角川書店さんのドラゴンコミックスより刊行されました。
作者は原作が寺田憲史先生、漫画が円英智先生。
寺田先生はアニメの脚本家で、「赤ちゃんと僕」「キン肉マン」などを手がけていらっしゃるほか、ファイナルファンタジーの1~3のシナリオなども手がけていらっしゃいます。
円先生は87年ごろから活躍されている漫画家で、代表作は漫画版「神秘の世界エルハザード」など。
近年も画業は続けていらっしゃるようですが、単行本は10年以上出ていないようです……
さて、本作は日本ファルコムが86年に発売した「ロマンシア」という同名のPCゲームをコミック化した物です。
87年にはファミコン版も発売されていますので、そちらをプレイした方も多いのではないでしょうか。
当時の超話題作であるドラゴンスレイヤーシリーズに名を連ねる作品で、パッケージは非常にポップでかわいらしい絵柄に彩られているものの、内容は恐ろしく高難度と言うギャップがすごい作品でした。
ファミコン版では難易度がマイルドにはなっているものの、それでも十分難しいゲーム性は当時のゲーマーたちを絶望と憤怒の淵に叩き落したものです……
で、肝心の漫画版。
ゲーム版ではファン・フレディ王子がセリナ姫を助けに行くと言うお話なのですが、この作品ではなんと真逆!
行方不明になったフレディ王子を腕利きの剣士であるセリナが救出に向かう話になっているのです!
そんな根本的な部分からアレンジが入っていることからも分かるように、本作は原作の設定を踏襲しつつもワイルドな改変がなされています。
原作では一人旅でしたが、少年魔導師のマジシンという相棒がいると言う点や、完全オリジナルの敵である闇導師ガラウとシアンの登場、そしてセリナを救う謎の魔法剣士など、キャラクター面で大きな強化がされています。
その結果として主役であるセリナやマジシンが陽気なキャラクターとなっており、コミカルに話が進んで行く楽しさがあります。
同時に原作の「モンスターの大部分は人間が変身させられたもの」という設定も生きており、ハードな展開も内包しているのです!
そして物語の目玉である謎の魔法剣士とセリナに隠された衝撃の事実には驚かされるばかり!
意外な事実と盛り上がりまくるクライマックス、そして悲劇的な決着からのハッピーエンドなど、ゲームのコミック化とは思えない高い完成度を誇る作品になっております!
ストーリーだけでなく、ビジュアル面でも注目したいところ。
さすがに多少の古臭さは否めませんが、それでもしっかり描き込まれた絵柄はいまだ魅力的です。
セリナはかわいいしサービスシーンもありますし、
迫力あるバトルシーンもしっかり存在!
ラスボスであるヴァイデスはなぜか変身ヒーロー的格好何ですが……
これは作者さんの趣味なんでしょうかね……?
個人的にはどうしてもヴァイデス=数珠っぽいヤツというイメージがあるんですが……
でも人間型同士のほうが白熱したバトルの絵が生み出しやすいのは事実ですから、漫画として考えると正解ですよね!
骨太正統派ファンタジー漫画、「ロマンシア『浪漫境伝説』」。
ゲームを知らない人でもまったく問題なく楽しめ、ゲームを知っている方ならば大胆でありながらもその匂いを残す設定改変が楽しめる良作です!
発行部数が多かったのか、古本屋さんでも比較的見かけることの多い本作、目に付きましたらぜひ買ってみていただきたいです!!
さぁ、本屋さんにいそぎましょう!!
ちなみにネットでも1円~でごろごろ売ってますのでそちらで買うのも手ではないでしょうか!